プレスリリース
四国山地におけるツキノワグマ生息調査の結果について ~「はしっこプロジェクト2020」~
剣山山系及びその周辺地域のみに生息する四国のツキノワグマは、2017年時点で16頭から24頭と推定されており(鵜野ら 2019)、環境省レッドリスト2020では「絶滅のおそれのある地域個体群」とされています。
四国森林管理局、中国四国地方環境事務所及び(認特)四国自然史科学研究センターでは、ツキノワグマの生息状況を把握するための調査「はしっこプロジェクト」を、平成26年度から連携して実施しています(中国四国地方環境事務所は平成27年度から参画)。
令和2年度の調査結果は下記のとおりでしたので、お知らせします。
記
1.調査概要
調査期間:令和2年4月から令和2年12月まで
調査方法:無人撮影装置(センサーカメラ)による調査
32箇所86地点に無人撮影装置を設置
四国森林管理局:5箇所15地点
中国四国地方環境事務所:11箇所29地点
四国自然史科学研究センター: 16箇所42地点
2.調査結果(別添1参照)
令和2年度の「はしっこプロジェクト」でセンサーカメラを設置した32箇所のうち17箇所(徳島県13箇所、高知県4箇所)において撮影され、胸部斑紋等による個体識別を行った結果、少なくとも21頭のツキノワグマが確認されました。そのうち、今年生まれと考えられる幼獣1頭が1箇所で確認されています。個体数が少なく、絶滅の危険性が高い個体群では、繁殖が安定して行われているかは重要な情報となります。今年度の結果から、令和元年度に引き続き、順調に繁殖が行われていることが確認されました。
また、今年度は別の調査で設置したセンサーカメラでも、ツキノワグマが確認されました。
生息が確認された18箇所のうち、17箇所はこれまで生息が確認されている地域で、残る1箇所(はしっこプロジェクト以外でのセンサーカメラでの確認地点)はこれまでに生息が確認されていなかった地域での確認となりました。近年、これまで確認されていなかった地域で、ツキノワグマが確認される事例が出てきていますが、撮影頻度は低く識別頭数の多くは、分布中心地域で確認されているため、依然として四国のツキノワグマは剣山山系及びその周辺の限定的な地域が、主な分布域と推察されます。
今後とも、四国のツキノワグマの生息状況を適切に把握するために、今年度新たに生息が確認された地域を含め、各機関の連携により引き続き生息状況を調査し、恒常的な分布域であるか確認する必要があります。
なお、今回の調査では、環境省レッドリスト2020で絶滅のおそれのある地域個体群のニホンカモシカや高知県レッドデータブック(2018)で準絶滅危惧とされるニホンモモンガなど複数の動物が撮影されており、四国山地周辺の森林が多様な動物のすみかとなっていることが窺えます。
3.今後の予定
今回の調査結果を踏まえて、令和3年度も調査を継続することとしています。
4.その他参考(調査箇所)
お問合せ先
四国森林管理局
計画課 藤平、本田
TEL:088-821-2100
中国四国地方環境事務所
四国事務所 山下
TEL:087-811-6227
四国自然史科学研究センター
山田、安藤
TEL:0889-40-0840