平成29年3月30日
四国森林管理局
四国山地におけるツキノワグマ生息範囲調査について~「はしっこプロジェクト2016」~
剣山山系及びその周辺の地域のみに生息する四国のツキノワグマは、1996年地点で50頭未満と推定されており(「レッドデータブック2014」(環境省)より)、絶滅のおそれのある地域個体群とされています。
四国森林管理局では、ツキノワグマの生息分布域を把握するため、環境省中国四国地方環境事務所及び特定非営利活動法人四国自然史科学研究センターと連携した調査「はしっこプロジェクト」を、平成26年度から実施しています。
平成28年度の調査結果は下記のとおりでしたので、お知らせします。
記
1調査概要
調査期間:平成28年6月から平成28年12月まで
調査方法:無人撮影装置(センサーカメラ)による調査
2調査結果(別添参照)
今年度の「はしっこプロジェクト」において確認(撮影)されたツキノワグマの個体は、以下のとおりです((1)~(7)はそれぞれ別の場所です。)。
なお、同じセンサーカメラで複数回撮影された場合、すべて同一の個体なのか、異なる個体も含まれるかは、わからない場合があります。
(1)高知県安芸市の民有林内のセンサーカメラ(四国自然史科学研究センターが設置)で、亜成獣が1回撮影されました。これは新規個体です。
(2)徳島県三好市の国有林内のセンサーカメラ(四国森林管理局が委託事業によって設置)で、成獣が2回、また、親子グマ(成獣1頭、幼獣2頭)が1回撮影されました。少なくとも幼獣2頭は新規個体です。
(3)徳島県那賀町の民有林内のセンサーカメラ(環境省中国四国地方環境事務所が委託事業によって設置)で、成獣が6回、親子グマ(成獣1頭、幼獣2頭)が3回撮影されました。3回撮影された親子グマについて、うち2回は同一の親子グマと思われ、残り1回は(2)で撮影された親子グマと同じ可能性があります。(2)で撮影された幼獣を除くと、少なくとも2頭の幼獣の新規個体が確認されたことになります。また、成獣には、少なくとも2頭の既知個体が含まれます。
(4)徳島県那賀町の民有林内のセンサーカメラ(環境省中国四国地方環境事務所が委託事業によって設置)で、成獣が6回撮影されました。これには少なくとも1頭の既知個体が含まれます。
(5)徳島県那賀町の民有林内のセンサーカメラ(環境省中国四国地方環境事務所が委託事業によって設置)で、成獣が1回撮影されました。
(6)徳島県那賀町の民有林内のセンサーカメラ(環境省中国四国地方環境事務所が委託事業によって設置)で、成獣が1回撮影されました。
「はしっこプロジェクト」として設置したセンサーカメラ以外にも、今年度は、以下のツキノワグマが確認されました。
(7)高知県香美市の国有林内において、シカの大型囲いわなの付近にシカの捕獲状況の把握のために設置したセンサーカメラ(四国森林管理局高知中部森林管理署の職員が設置)で、成獣が1回撮影されました。
今年度のはしっこプロジェクト及びそれ以外に四国森林管理局が設置したセンサーカメラでは、延べ30頭(同一個体を含む)のツキノワグマが確認され、そのうち少なくとも3頭は既知個体、5頭(亜成獣1頭、幼獣4頭)は新規個体と推測されます。確認された場所はいずれも、これまで生息が確認されていた区域に含まれます。2箇所で親子グマが確認されたことは、多少なりとも世代交代が起きていることを意味しています。
なお、今年度は、7月21日に高知県安芸市内の市道でツキノワグマの目撃情報があり、撮影された写真が新聞に掲載されました。目撃された時期から、(1)で確認された亜成獣と同一の個体と推測されます。
3今後の予定
今回の調査結果を踏まえて、平成29年度も調査を継続する予定です。
4その他
撮影された画像(動画を含む)をご希望の場合は、撮影者に伝えますので、ご連絡下さい。
お問合せ先
計画保全部計画課担当者:森林施業調整官
代表:088-821-2210
ダイヤルイン:088-821-2100
FAX:088-821-2255